秋の日本滞在を終え、デンマークに戻りました。今回は、長女一家4人が学校の秋休みを利用して2年ぶりに訪日したため、その期間中は、もっぱら家族サービスに明け暮れる日々でした。娘や孫たちにとれば、日本は自分たちのルーツの一部であり、単なる外国ではないのですが、やはり日本は、いつも生活しているデンマークとは何もかもが違う異国であることに変わりありません。彼らと2週間行動を共にすることで、彼らの目に日本がどのように映っているか、日本のどんなところが興味深いか、またどんなところが不便なのか等々、普段日本人が思いもしないことに多々気付かされます。その中で、「これは問題だ!」と今回強く思ったことがあります。それは、日本のATMシステムが外国人旅行者に不親切なシステムだということです。これはかなり深刻な問題だと思うので、いずれは日本の新聞に投稿しようとまで思っていますが、まずはホームページへの掲載から。
今はインターネット、電子化の時代。旅の仕方も数十年前とは大きく変化しました。ひと昔前であれば、海外旅行に出かける時は、訪問先の使用貨幣を換金して持参するか、米ドル建てのトラベラーズチェックを持参するのがあたり前でしたが、今は、国際的に通用するクレジットカードさえあれば、少なくとも欧米諸国など先進国では、現金を持参しなくても、旅先々での支払いに困ることはなくなりました。日常の買い物や支払いで現金が殆ど使われなくなって来ているデンマークでは、銀行カード(支払い直後に口座から引き落とされる)や国際クレジットカード払いがあたり前で、さらに近年は携帯電話での支払い(Mobilepay)も普及して来ています。そんなこともあり、娘夫婦は、デンマークで発行された国際クレジットカードを使い、来日後にATMで現金を引き出すことにしていました。東京の住まいの最寄り駅前には、大手銀行と地方銀行のATMが設置されており、どちらも国際的に通用しているクレジットカード使用可、英語での案内可になっていますが、実際にやってみると、すぐに引き出し不可となったり、最終確認ボタンが押せなかったりで、拒否されてしまいました。そこで、いくつかの大手銀行内ATM装置で試みましたが、これも全て不可。これはないと思い、ある銀行の窓口に問い合わせたところ、「窓口では海外クレジットカードでの現金化は出来ません。当行のATMは、日本と中国で発行されたクレジットカードのみ利用可能です。」との返事。これにはさすがの私も黙って引き下がることが出来ず、「オリンピック・パラリンピックを数年後に控え、中国以外の海外旅行者もさらに増加することになるのに、こんな不便なシステムでは国の威信にも関わるのでは?」などとつい抗議してしまいました。行員からは、「私どもでは、判断しかねます。」の一言。途方に暮れていたところ、駅前のセブンイレブンでセブン銀行のATM機を見つけました。ダメでもともとと思い、婿がここでトライしたところ、何の問題もなく現金を引き出すことに成功しました。まずはこれで一件落着、ほっとしたのですが、やはりどう考えても、大手銀行のATMシステムを海外旅行者が殆ど使えない現状には納得が行きません。
デンマークに戻る機内で臨席したデンマーク人ビジネスマンにこの話をしたところ、彼も、以前同様の経験をしたことがあったが、今では来日の際は、必ずセブン銀行で換金しているとのこと。少なくとも今は、「知る人ぞ知る」の世界であるようです。今後、政府が海外からの旅行客を倍増したいのであれば、このような不親切なシステムを是非とも改善してほしいものだとつくづく思っています。