世界経済フォーラム(World Economic
Forum、ジュネーブに本部を持つ国際機関)が毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」という国際比較があり、ここでは、@経済活動への参画と機会、A教育、B健康と生存、C政治への関与の4項目で、世界各国の男女格差を比較しています(男性1に対しての比較)。
2015年の調査結果を見ますと、1位アイスランド(0.881)、2位ノルウェー(0.850)、3位フィンランド(0.850)、4位スウェーデン(0.823)と北欧諸国が首位を独占しており、5位アイルランド(0.807)、6位ウワンダ(0,790)、7位フィリピン(0.790)と続きます。あれあれ、前年5位だったデンマークは、どこへ消えたのだろう?と探してみたら、なんと14位に落ちていました(0.788)。これにはいささかびっくりしましたが、前年と比較すると、@経済活動への参画と機会(0.805→0.788)と、C政治への関与(0.655→0.309)で数値が落ちていました。政権交代で首相が女性から男性に変わり、女性大臣の割合が減ったこと(現在17名中5名、29%)が原因でしょうか。 経済活動では、管理職・役員レベルの女性比率が他の北欧諸国に比べて低いことが判明しました(0.4→0.36)。
では、日本はどうでしょう。2014年は142ヵ国中104位(0.618)、そして2015年は145ヵ国中101位(0.670)と、途上国以下の結果です。G7の一員である日本が、この順位に甘んじていて良いはずはありません。4項目の数値を詳しく見てみますと、日本は、A教育とB健康・生存ではトップクラスなのですが、@経済参画(0.611)、特に管理職・役員レベルが非常に低く(0.10)、またC政治関与も0.103と際立って低いことがわかります。1999年には「男女共同参画社会基本法」が施行され、2001年からは、男女共同参画担当大臣のポストを設け、さらに安倍首相は、近年さかんに、「輝く女性社会」を実現させようとアピールしていますが、ひと昔前と比べてどれほど変わったのでしょうか。少なくとも、ジェンダーギャップ指数には、これまでの努力の成果はほとんど反映されていないように思われます。働きたい/出産後に復職したい女性は確実に増えていますが、子育て支援がニーズに追いついていませんし、女性が働きやすい職場環境整備や職場意識にも、かなりバラつき見られるようです。
デンマークでは、女性が出産育児休暇後に元の職場へ復帰することは、全く問題ありません。それは、出産直後に地方自治体(市)へ申請すれば、自治体は復職時に保育施設の席を用意する義務を負っているからです。ただ出産休暇は、女性が産前4週間+産後14週間=18週間で、男性は産後2週間、そして育児休暇の32週間は、両親の話し合いで自由に配分できることになっていますが、実際には女性が取る比重が未だに大きく、これが足かせとなり、女性のトップリーダーや役員比率の伸びが停滞しているという意見が、未だに強いようです。
最近、デンマーク経済界のトップリーダーの一人で、社会的影響力を持つ著名な女性スティーネ・ボッセさんが、男性の育児休暇をクオーター制にすべきだと提案し、賛否両論、話題になっています。「イクメン」という言葉が存在せず、子育てに父親が参画することが当たり前になっているデンマークでも、まだまだジェンダーギャップは存在し、これを埋めることは、決してたやすいことではないようです。
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