デンマーク・日本いろいろ 第1号
「デンマーク・日本にみるシニアの寿命と健康」その1
2016年3月
 デンマーク人の平均寿命は、統計局の最新発表(14/15年)によると、男性78.6歳、女性82.5歳で、女性が1年前より0.2ポイント下がったものの、傾向としては、年々ゆるやかに伸びてきています。 長寿国日本の平均寿命(14年)は、男性80.50歳、女性86.83歳ですから、両国の平均寿命には、男性で約2歳、女性ではなんと4歳以上差があることになります。ということは、日本人の方が健康度は高いのでしょうか?

 最近よく聞かれるようになった健康寿命(英語では、health-adjusted life expectancy, 略してHALE)という言葉がありますが、これは日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間と定義されており、  こちらの方が平均寿命より意味があると考える人が多くなってきました。単に長生きするのが良いのではなくて、健康で自立した生活を維持することの方がたいせつだということだと思います。 ただ日常的介護の必要性や自立した生活をどのように定義するかは、国や文化により微妙に異なると思いますし、その定義次第で数値はかなり変わってくるので、統計数値だけで健康度を語ることは問題があると感じています。

 数字ではなく、デンマークと日本のシニアをざっくり比較して感じることは、デンマークのシニアは総じて、経済的・精神的自立度が高く、健康管理は自己責任だと考える人が多いのに対して、日本のシニアは自立度が高い人もいれば、 家族依存型の人も多く、健康管理は医療頼みの傾向が強いように思われます。その結果、デンマークには、退職後の人生をいきいきと謳歌しているシニアが多く見られ、生活不活発病になりにくい環境があるものの、 人間ドックなどの健康診断を国が推挙しているわけではないので、気が付けばすでに手遅れというケースもままあるようです。 一方日本人は、一般的に健康や病気への関心が非常に高く、しかも医療技術レベルも高いので、平均寿命は世界トップですが、ライフクオリティーの維持という点では、寝たきり老人、老害、介護離職、 延命治療といった言葉からも推測できるように、人生の幕引きにかなり長い時間がかかるケースが目立つように思われます。

 「人生、太く長く」がベストに違いありませんが、「太く短く」と「細く長く」の二者選択だとしたら、あなたはどちらを希望されますか?